平成20年4月、日本リウマチ学会において「ミルク抗体の関節リウマチへの治療効果」が発表されました。(1)
以下は、その研究背景について解説します。
関節リウマチは自己免疫病の一つで、病原菌などの外敵を攻撃して体を守るためにある免疫機能が、自分の関節を攻撃するという免疫系の異常を起こすことが原因であるとされています。
腸内にはビフィズス菌などの善玉菌と共に、ウェルシュ菌、バクテロイデス菌、大腸菌などの毒素産生菌(別名で悪玉菌ともいいます)が棲んでいます。
健康な腸は、腸内細菌や細菌毒素が体内に侵入するのを、防御柵を作って防いでいます。しかし、防御柵の働きはストレスに弱く、体が寒さに曝される(寒冷ストレス(2))、心配事がある(精神ストレス(3))、便秘(4)、などにより防御柵の機能が低下し、毒素産生菌や細菌毒素が体内に移行することが判ってきました。
体内に侵入した毒素産生菌や細菌毒素は、体の免疫系の異常を一層悪くし、病気も悪くすることが関節リウマチの動物モデルによる実験で判っています。(5)
「母乳のチカラ」には毒素産生菌と毒素に対する抗体が含まれています。これらの抗体には細菌毒素を無毒化し、毒素産生菌を減らす作用があります。
そこで、演者らは関節リウマチ患者における「母乳のチカラ」の機能を調べました。
関節リウマチ患者18例に「母乳のチカラ」を毎日一袋を三か月間用いていただき、CRP(炎症の程度を表す)を始めとする各種検査を行い、総合評価の結果、8例が改善、4例がやや改善、6例が無効と判定されました。(1)
(1)片山 耕 日本リウマチ学会総会抄録集 2008年4月351頁
(2)Anderlik P Acta Microbiol Hung 1990,37,289-294
(3)Velin AK Gut 2004,53,494-500
(4)Khalif IL Digestive and Liver Disease 2005,37,838-849
(5)Yoshino S J Immunol 1999 163 3417-3422