花粉症の臨床試験について

花粉曝露室の紹介

花粉症をはじめ、その成分や素材に効果があるかどうかを調べるときには、 ヒトで効果を確認することが重要です。

花粉症への効果を人で確認するために 花粉曝露室という試験施設が存在します。

「花粉曝露室」とは??

花粉曝露室とは、一定濃度の花粉を人工的に飛散させることができる試験施設です。 下の写真は、花粉の飛散量を調節する機械です(2019年にEEU Wakayamaで撮影)。

花粉の飛散量を調節する機械

野外では、花粉が飛散する量は、日時、場所によって大きく変わります。 そのため、花粉症の臨床試験を実施する際、野外試験とすると、試験条件(花粉の飛散量や曝露時間)を同じにできないため、比較が非常に難しくなります。

例:「Aさんは花粉がよく飛ぶ地域にいたが、Bさんは花粉がほとんど飛ばない地域にいた」等のことがあったら、正確に効果を判断するのは難しいと言わざるをえません。

花粉曝露室では、被験者を同じ空間に集め、一定時間・一定の花粉を飛散させることができるので、花粉曝露量などの試験条件を一定にすることが可能となります。
2021年現在、日本には、花粉曝露施設は、全部で4つあります。日本でも花粉症の有病率が上昇(※)してきた背景を受け、2004年に、榎本雅夫先生らによって和歌山県有田郡有田川町に、日本初となる花粉曝露室:EEU Wakayamaが設立されました。

野外試験では、花粉の飛散時期にしか試験を行うことができませんでしたが、花粉曝露室では、花粉が飛んでいない時期にも、人工的に花粉を飛散させることで、試験が可能となりました。
また、任意の花粉曝露濃度を決定きるので、再現性に優れた試験を行えるようになりました。

※日本における花粉症の有病率は、鼻アレルギー診療ガイドライン2020年版によると、図1のように、1998年は20%未満であったのに対し、2008年には29.8%に増加し、2019年にはさらに42.5%まで増加しています。

図1 1998年,2008年,2019年の有病率

1998年,2008年,2019年の有病率
鼻アレルギー診療ガイドライン2020年版 より引用
むずむずの季節にアレルクイック

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